涅槃姫みどろ 涅槃劇場 千秋楽 最終幕 「涅槃への道」


 「やはり学校か・・・。我が宿敵みどろの気配がすさまじく大きくなっている・・・」
 雷鳴轟く嵐の夜に、みどろさんの気配を追って学校にあらわれたラーフラさん。決意に満ちた眼差しです。
 いよいよみどろさんラーフラさんの二人の因縁に決着をつけるときがきたのです。
 学校の教室に入ったラーフラさんがみたものは和やかに談笑する人々。
 「ミドリムシ星人のフィギュアがみつからないんだ!どこにいったんだ!」
 「あなたは作家の和泉さんじゃないですか?ほら2年前に取材させてもらった者です。」
 「ああ、これはどうも」
 「あなた体格いいわね。ソフトボールやってみない?」
 「ママを電話で呼びださなくっちゃ」
 「あれ・・・僕はたしか事故で死んだような・・・」
 どうもどこかで見覚えのある面々です。
 「こんなところで何やってるの!?」
 驚きつつラーフラさんが近くの男性の肩に手を触れるとラーフラさんの手は男の体をすり抜けてしまいます。
 「もしかして・・・亡霊?一体どういうことなの?」
 一方、亡霊たちの会話は続きそれぞれの共通の思い出にたどり着きます。
 「・・・でさあ、その時たしか目の前の女が俺に言ったんだよ・・・。えっと・・・や、やき、やく・・・何だっけ?」
 「そうだ俺も聞いたぞ!」「私も」
 口々に同意を示すものも、誰も思い出せません。
 そこで、みどろさんが颯爽と登場して見開きをつかってキメてくれます。
 厄いわ・・・」 
 胸のつかえがとれたのか妙にハイテンションで同意する亡霊一同。
 「そうだその『厄い』だ!」「そうだ!そうだ!」
 そんな亡霊一同を見渡して「ふふふ・・・揃ったようね」と不敵につぶやくみどろさんに早速ラーフラさんが噛み付きます。
 「みどろ!!やっぱりあなたの仕業だったのね!!」
 「お、お前はあの時の女!」「あなたのせいで」
 ラーフラさんと急に記憶を取り戻したらしい亡霊達を無視してみどろさんは続けます。
 「ようこそ。涅槃行きの教室へ」
 「な、何だよ涅槃って」
 驚き問い返す男に「ふふふ、あなたたちが望んだところよ」と曖昧な言葉を返すみどろさん
 すると口々に非難の声が返ってきます。
 「俺はそんなとこ行きたくねぇぞ」
 一部始終をただみているラーフラさん。このときみどろさん出現のとき、すぐ側にいたはずなのに、教室の後ろの方に瞬間移動しているような気がするけど気にスンナ。私は気にしません。
 とにかくラーフラさんはこれは、みどろさんが今まで呪ってきた人たちをまとめてどこかへ送り出す儀式がはじまるのではないかと推測します。
 みどろさんとの会話を打ち切り、教室を去ろうとする亡霊一同に対してみどろさんはスッと手をかざし「もう遅いわ・・・」と告げると教室の黒板が砕け散り、涅槃への入り口が開きます。
 「おらとぱらいそさいくだ〜」すいません。これは「妖怪ハンター」です。
 「さあ・・・私と一緒に行くわよ」
 涅槃への入り口は次々亡霊を呑みこんでいきます。
 その光景をみながらラーフラさんはみどろさんの言葉にある引っ掛かりを覚えます。
 「みどろ・・・今、何と!?『私と一緒に』!?」
 次の瞬間ラーフラさんはみどろさんの体がどんどん薄くなっていくことに気付きます。
 「ということは悪魔がいなくなる!あはは、私の勝ちってことね、みどろ!」
 高らかに勝利宣言をするラーフラさん。しかし、ラーフラさんは二人の決着がみどろさんの勝ち逃げで終わることに疑問を覚え、
 「決着はまだついていないわ!お待ちなさい!」とみどろさんに叫びます。
 しかしみどろさんはそっぽを向いています。
 「ほ、本当に行っちゃうの?」不安げに問いかけるラーフラさんにみどろさんは「聞こえてるわ」と答えます。本音をだして赤面するラーフラさんに「それは『未練』とうものよ」と諭すみどろさん。やはりみどろさんのほうが一枚上手のようです。
 亡霊を全て呑みこみ二人だけになった教室で対峙するみどろさんラーフラさん。
 みどろさんは最後に「ふふふ、あなたに会えて楽しかったわ」と告げるとそのまま涅槃へと消えてしまうのでした。
 「行かないで!」
 そういってラーフラさんが追いすがるものの、涅槃への入り口はすでに閉じ、そこにはただの黒板があるだけでした。
 「みどろ!」
 悲痛な叫びをあげるラーフラさんはみどろさんのお気に入りの人魚のイヤリングを拾います。
 みどろさんのイヤリングをみつめて涙を流すラーフラさん。
 その涙は・・・。



 「こらラーフラくん!」
 教師の怒号で「んにゃ?」と居眠りから目をさますラーフラさん。机にはよだれの海ができあがっています。居眠りと成績について注意をうけたラーフラさんは、机にあるみどろさんの残したイヤリングに気付きます。
 しかし、気味の悪いイヤリングと思いすててしまいます。
 後ろの席の女子生徒がラーフラさんがみた夢について興味津々にきいてきます。
 「何だかみどろがどうしたとか言ってたわよ」
 その問いに対して「みどろ?ごめんなさい、全然聞いた事ありません」と答えるラーフラさん。
 授業に没頭しようとするラーフラさんの横で男子生徒が隣のクラスの転校生について噂をします。


 
 黒板に書かれた「深泥」の文字。
 ショートカットで眼鏡をかけた深泥さんが担任から紹介されています。
 はたしてみどろさんと深泥さんの関係は?
 多くの謎を残したまま、新しい謎が生み出され、今、「涅槃姫みどろ」という物語はここに完結、いや始まろうとしているのでした。





 「あなた厄いわ」とみどろが言った。だから今日は涅槃記念日。  
 とゆうわけで、「涅槃姫みどろ」の最終回でした。
 ベタといえばベタだけれども非常に綺麗にまとまった最終回だと思います。
 個人的にはみどろさんラーフラさんが百合っぽかったのがイイ感じです。
 もしかしたらまた読みきりとかで戻ってくるかも、なんて思ってましたがこの最終回だったら、今後読みきりとかやっても全て蛇足のように思えてきますね。
 いやでも眼鏡ショートの深泥さんの活躍もみてみたいような気もしますが・・・。

 
 月並みですが、大西祥平先生と中里宣先生に対して一年間楽しませてもらったお礼を申し上げます。
 お疲れ様でした。次回作も期待しています。