涅槃姫みどろ 厄の39 「まずい酒」
 
 おちょこで日本酒を飲み干すと青年は高らかに語りだします。
 「いいですか先輩!ようやく半年間の研修期間を経て報道部に配属になった以上・・・。僕はですね、これからジャーナリストとして・・・。」
 どうやらジャーナリストの卵らしい青年の主張に対して先輩は
 「おうおう、根気の新入りは頼もしいな」
 と軽くあしらいます。
 そんな態度にますますいらだち、ますます語りだす青年。
 しかし、徳利はもう空。
 「姉ちゃん、おかわり!」
 そう告げた相手はなんとみどろさん
 いや、いくらなんでも店員さんと一般客をまちがえないだろ!
 てゆうか、「厄いところにみどろ在り」ってなってるけど、普通の居酒屋だろ!


 酔っ払いのたわごとをズズっとあまり上品でない音をたててお茶を飲んでスルーするみどろさん
 すかさず、あしゅら執事が「お嬢様は店員さんと違いますぞ」とフォローをいれます。なんでもみどろさんはあしゅら執事に久々の一杯につきあうために居酒屋までやってきたらしい。


 
 すっかりできあがっている青年をほっぽりだしてさっさと帰ることにした先輩は
 「大将請求書はいつもみたく会社にまわしといて」といいます。
 それが後輩の怒りに火をつけた。
 「会社!?身内の飲み代を経費にするなんて・・・。ゆ、許せません」
 叫ぶ青年を無視して帰る先輩。
 「うい〜不正は許さ〜ん!コネ入社なんて二度と呼ばせないぞぉぉ〜!」 
 と叫ぶと青年は行き場のない怒りをなぜみどろさんにぶつけます。
 「姉ちゃん、僕はねえ世の中のために!ジャ、ジャーナリストになるんだよ」
 今度もみどろさんはモグモグと料理を食べてスルーします。実はみどろさんは飲み食いしながら人の話を聞く事が多いです。
 「報道部に入ったからには巨悪にメスを入れまくってやる!追求の手はゆるめない!ゆるめないぞぉ!ドカンとスクープ持ってこいやぁ!」
 そう叫ぶとそのまま青年は床に倒れこんでしまいます。
 みどろさんは青年に向かって手をかざすと、「厄いわ」とつぶやくのでした。
 左目の邪眼がクローズアップされるこのコマはとても美しいと思います。




 その後、青年のもとに不正行為の証拠を提供したいという申し出がやってきます。
 送られてきた、ビデオカメラには収賄の現場がはっきりと写されています。
 受け取る側はなんと彼が勤務するTV局の上層部。
 「う、ウチの局の大スキャンダルじゃないか!!」と驚く青年。
 しかし彼は会社よりも真実を選びます。
 「会社がどうなろうとネタを調べあげて絶対に放送する!も、もし妨害されたらライバル局に持ち込んでやる!クビになったっていい!」
 わが身はすでに覚悟完了
 しかし、青年は賄賂をおくる側が実は青年の父親だと気付きます。映像の父親はおもいきりカメラ目線です。
 さっきまでに勢いはいきえ、意気消沈する青年。
 結局、青年はビデオカメラを蹴りこわし証拠を闇に葬ることにします。
 その後、情報をリークしてきた人物から電話がきます。
 青年がもみ消しを図るであろう事を見越していた情報提供者は実はすでに他の局に情報をながしていたことを告げます。
 そう全ては策士孔明の掌のうえ。
 高らかに笑う情報提供者。
 青年は今度は携帯電話を投げ壊します。
 よくモノを壊すやつです。
 青年はニュースを流す他局にむかうとニュースをやめるようにいいだします。
 しかし、当然不審者だと思われ警備員にとりおさえられます。
 「おしまいだぁ!!こんなのイヤだあぁ」
 そう叫ぶと世界は暗転。



 「ハッ」と気付くとそこは青年がみどろさんにからんだ居酒屋。
 「よっジャーナリズムの兄ちゃん!楽しみにしてるぜ。頑張ってくれよな」と酔客がひやかすと、
 「あっ、いや、自分はそれほどでも・・・。」と急に謙虚な態度をとります。
 「皆さんお騒がせしました!」とペコペコして帰る青年。請求書を会社に送るようにいうことも怠りがりません。
 青年がでて行った後、「いきなりあの若物、大人しくなりましたな。これで美味しく飲めるというもの」とつぶやきます。みどろさんは相変わらず食べています。
 お酒をのみつつハタと気付くあしゅら執事。
 「さてはお嬢様。この一瞬の間に何かされましたな」
 そういうあしゅら執事から酒の入ったマスをとりあげると、
 「彼が選んだ行動によっては夢で終わらなかったかもしれないわ」
 と例によってしったようなことをいいます。
 そして、クイとお酒をあおると「まずい酒ね」とつぶやくのでした。




 少年誌で「まずい酒」とゆうサブタイトルとゆうのもいかがなものかと思います。
 一応、女子高生とゆう設定のみどろさんがお酒をのんでも全然違和感がないのがすごい。女子高生だけど未成年とはいってませんものね。
 からんできた酔っ払いに幻を見せるだけで、終わらせるなんてみどろさんも丸くなったものだと思いました。

 
 ところで、誠に勝手ながら「よりぬきみどろさん」は今回が最後になります。
 短い間でしたがご愛読ありがとうございました。
















 ・・・次週から新カテゴリー「よりぬきみどろさん2007」が始まります。