涅槃姫みどろ 厄の32(単行本4巻第参拾五夜)  「対峙」

 

 「む、災いが・・・見えます」
 滝にうたれ瞑想するのは、みどろさんを敵視しほろぼすためにネパールからわざわざやってきたラーフラさん。釈迦の娘とよばれる彼女の活躍については本日発売の「涅槃姫みどろ第三巻」を読もう。
涅槃姫みどろ 3 (少年チャンピオン・コミックス)

 ラーフラさんは突然たちあがり、
 「これはみどろではない!新たなる試練!」と叫びます。
 電波っぷりも健在だ!!


 一方、みどろさんの本拠地「入滅堂」では、新キャラの魔少年メルトくんが、あっさりと姿をけしていたのでした。一応メルトくんの監視の責任を負わされていた、あしゅら執事はあわててみどろさんに報告しますが、みどろさんは平然と「厄いわ」というのみです。
 はたして、メルトくんはいずこへ・・・。」




「あの女いい感じ」

 書を捨てて街へ出たメルトくんは街で暗い雰囲気の女性をみつけるとダッシュでかけよろうとします。早速得意のいたずらをしかけようとするのだが、
「お待ちなさい」
凛とした静止の声がかかります。
民族衣装を身にまとい、孔雀の羽をもったラーフラさんの登場です。
 原作者も萌えるという魅惑の腰つきがセクシーです。

 

 それではツッコンでもツッコミきれなり初対面二人の会話の妙をお楽しみください。
ラーフラさん(以下ラ)「あなたね。人を不幸に導く邪悪の正体は」
メルトくん(以下メ)「お姉さん、ユニークな格好してるけど・・・・・・。」
ラ「我が名はラーフラ・・・・・・。釈迦の娘と人は呼びます。あなたを諌めに来ました!」
メ「う〜ん、ごめん。僕急いでるから・・・・・・。」
ラ「悪魔に告ぐ!去りなさい!この世で悪魔はみどろ一人でたくさんよ!」
メ「ん?みどろって言った?」
ラ「我が宿敵です!あなたとともに人を破滅に導く存在!」
メ「ちょっとちょっとぉ、あんなのと一緒にしないでほしいなあ。そもそも僕、人を破滅させてるんじゃないよ。困ってる人にちょっといたずらしてるだけだよぉ」
ラ「その邪心に満ちたいたずらこそが災いなのです!」
メ「あのね、いたずらの結果そりゃあ不幸もあるかもしれないけど、意外に本人は救われているんだぜ。これマジ!」
ラ「嘘をおっしゃい!救いとは全てを受け入れる事のみ」
メ「バカバカしい!!あのさ、僕せっかく相手を見つけたんだからまた今度ね!」


 やはり電波ちゃんと魔少年では会話がかみあいませんね。とゆうか二人とも自分の言いたいことしかいってません。まあ、よくあることです。
 そこで、ラーフラさんはひとつ提案をします。
 「お待ちなさい!ならば勝負を」
 なんとラーフラさんはメルトくんが目をつけた女性の悩みを見事に解決したほうが勝ちとゆう勝負をもちかけます。
 人、それを「いい迷惑」とゆう。
 そんなわけで、電波ちゃんと魔少年による人助け対決が始まるのでした。はっきり言って私はどちらにもかかわりたくありません。

 
 「あいつが憎い!心底憎い!私に全く振り返らず新しい女を!このやるせない気持ちをどうしたらいいのか・・・・・・。」
 そう勝手に相談にのってもらったK子さん(仮名)は、8年間尽くしてきた彼氏S夫さん(仮名)に新しい女ができてしまい、あっさり振られてしまったのでした。
 それでは、二人が提案するプランとはどんなものでしょうか?


 ラーフラさんプラン
 「憎しみ妬みそねみ・・・一時的な負の感情に囚われてはいけません!諸行無常の心で全てを受け入れるのです!そして全てを許すのです」

 
 メルトくんプラン
 「気が済むまで男に嫌がらせをしまくる!!」

 
 手をさしだす二人。
 果たしてK子さんが選んだのは・・・
 お〜っと、メルトくんだぁ!
 まさに、だ〜いど〜んでん、がえし!
 アバヨゥといって立ち去るラーフラさん(嘘です)。
 なにわともあれ「ほらみろ!人間ってのは昔からそういうもんなの!」そういってメルトくんは勝ち誇るのでした。


 
 それから一週間後。
 K子さんはメルトくんと一緒にS夫さんの住むマンションにやってきました。
 マンションの扉にはメルトくんの指示によってなされた落書きやら張り紙でひどいありさまです。
 ドカァ 
 ドアを蹴破るメルトくん。何気にすごいキック力です。キックホッパーライダーぐらいあると見た。
 蹴破った扉の奥では
 「じゃーん!今まさに絶命する寸前です」
 首をつったS夫さんの姿がありました。
 これにはK子さんも驚いた。
 しかしメルトくんは倒れこんで腹を抱えて大笑いします。これがホントのメルトダウン。・・・失礼しました。
 K子さんはそんなメルトくんを突き飛ばして、S夫さんを助けます。
 朦朧とするS夫さんに向かって絶叫するK子さん。
 「やっぱり私はあなたの事を今でも・・・・・・。今でもぉぉ!」 
 「でもさ、いたずらしてる時楽しかったでしょ?救われてたでしょ?そういう事だよ。いやぁいい事したなあ。」
 都合のいい理屈を並べ立てるメルトくんの後ろから合掌しながらラーフラさんが音もなく登場。
 「自分の本当の気持ちに気がついたのですね。間に合います。全てを受け入れるのです。」
 「間に合う!?なんとかなるの?」ラーフラさんの言葉にすがるK子さん。
 ラーフラさんは「苦しみを受け入れる覚悟があるならば力を授けましょう」とえらそうなことをいいますが、切羽詰まったK子さんは「お願いします」と素直に受け入れます。
 


 ラーフラさんから孔雀の羽を渡されるK子さんはすでに覚悟完了しているようです。
 「吸い出すのです!彼の苦しみを痛みを悲しみをゆっくりと・・・。さあ!」
 さりげなくK子さんの肩に手をおくラーフラさん。どこからみても百合カップルです。
 「仏(ふ)〜」
 K子さんが息を吸うと、S夫さんの口と鼻から黒いもやがあふれ出ます。それを吸い込み苦しむK子さんをはげますラーフラさん。どこからみても百合カップルです。

 
 ちなみに「仏(ふ)〜」は以前は全てを受け入れる覚悟をしていたラーフラさんが自分でやってました。しかし、リスクを冒さずに得た幸せはたやすく人を堕落させるということを、みどろさんに見せ付けられたため、今回はK子さんにリスクを背負わせたように思われます。
 頭があったかい子だとかよくいわれるラーフラさんですが、ちゃんと成長してるみたいですね。
 



 「う〜ん」
 奇跡的に命をとりとめた、S夫さんは真っ先にK子さんに謝ります。
 「け、K子。悪かった。すまない」
 「いいえ悪いのは私のほうだわ。あなたをここまで追い込むなんて」
 「ごめんなさい」と抱き合う二人。
 どうやらこの勝負はラーフラさんの勝ちのようです。
 「勝負はみえたようね。真に彼女を救ったのはどちらかは明白よ」メルトくんにつめよるラーフラさん。
 「あなた
は必要とされない存在なのです」といいきるラーフラさん。うけいれてやれよ。
 しかし、メルトくんは「やだよ!もっといたずらしたいんだもん」と駄々をこねます。
 「かわいい子供のふりをしてもダメよ」
 これはいい姉弟喧嘩ですね。
 そこにわって入る被害者のS夫さん。
 「この少年が私への嫌がらせを提案したんですね・・・。私を救ったのはそれなんです」
 な、なんだって!!
 「私は彼女の愛情の深さを嫌がらせを受けることで初めてしってのです。彼女からの嫌がらせで、私は本当に愛していたはずの女性を傷つけてしまった事をしりました。追い込まれ彼女を恨んでの自殺ではありません。愛を裏切ってしまった事への償いと後悔の自殺だったのです。」
 S夫さんは語ります。
 「そうだったの」と喜ぶK子さん。背景からは幸せオーラがでています。正直申しましてワタクシ、この漫画でこんな幸せオーラがみれるなんて夢にも思いませんでした。
 K子さんはラーフラさんの手をとり、S夫さんはメルトくんの手をとりそれぞれありがとうといいます。
 「あなたたちお二人のおかげで私たちはこれからの人生を歩む事ができます。」
 幸せオーラを出した状態で真顔で感謝され照れるメルトくんなのでした。


 
 帰り道ラーフラさんはメルトくんにいいます。
 「最初の勝負は引き分けね。・・・ただし調子に乗らせないわよ」
 「せ、せっかくいいところだったのに邪魔すんなよ。こっちは最初から勝負なんか受けてねーよ」とメルトくんはそっぽを向きます。
 「あなたひょっとして、感謝されるの苦手?」とラーフラさんにツッコまれると、
 「な、何だよそれ!」と狼狽してみせるのでした。
 メルトくんツンデレ確定!!



 ところ変わって入滅堂。大変なことになってなければよいと心配するあしゅら執事の言葉を受けてみどろさん何かを受信
 「大丈夫みたいよ。とりあえず」とわかったようなことをいうのでした。



 

 結局、ラーフラさんもメルトくんも、みどろさんの掌の上だったわけですね。
 メルトくんが相手を不幸のドン底まで突き落としておいて、ラーフラさんが救済する。
 「落とし」て「持ち上げ」る。
 マインドコントロールの基本ですね。
 きっとみどろさんはそこまで計算ずくの上で二人を組ませたにちがいありません。

 
 ところで、主要キャラの特徴を一言で言い表すなら・・・。
 みどろさん=絶対無敵
 あしゅら執事=どじっ子
 ラーフラさん=電波ちゃん
 メルトくん=ツンデレ


 完璧な布陣です。これならすごいギャルゲーができるぞ!
 もちろん隠れキャラの酒井梅安(=幸せ者)も攻略可能です。
 

  
 まともな感想ってこんな感じですか?sinsenさん・・・。