涅槃姫みどろ 厄の31(単行本4巻第参拾四夜)  「いたずら」

 入滅堂の地下倉庫で、倉庫整理にはげむあしゅら執事。
 そこで、開封厳禁と張り紙され、鎖と錠前によって厳重に封印された木箱を発見します。
 ここで、執事の特殊能力「ドジっ子」が発現!
 お約束どおり、転んだ拍子に木箱のふたが開いてしまいます。
 なかにあったのは金髪の美少年人形。
 生前、人形コレクターだったあしゅら執事は思わず見とていると、人形は一瞬目を開きます。
 しかし、次の瞬間には目を閉じていたため、錯覚だと思い木箱のふたを閉じようとしたところでみどろさん登場!
  
 秋とゆうこともあり、最近着たきり雀状態だったみどろさんも久々のコスチュームチェンジ。珍しくパンツルックにロングブーツとゆういでたちでちょっと馬で遠乗りにとでも、といわんばかりの格好です。お嬢様、どうかこの邪武の背におのりください。

 
 どうやら、みどろさんは大掃除の進み具合を確認しにきたらしく、あとは執事に任せて自分はでかけようとします。
 さすがに執事も「人遣いがあいかわらずおキビしい」とぼやきます。まあ、半年に一日しか休みがないとゆう労働条件ですからねえ。
 しかし、みどろさんは耳ざとく聞きつけたらしく、「なんですって」と振り返ります。ふふふ、地獄耳って素敵な響きね。
 「いえいえ」と執事は取り繕いながらもさっきの木箱について質問します。
 みどろさんは「いたずらが過ぎたから人形にして封印してるのよ」と謎の言葉を残し立ち去ろうとしましたが、なにか感じるものがあったのか、突然振り向き、「厄いわ」といいながら指差します。
 指差した先では、少年人形がいままさに立ち上がろうとしているところでした。(鎖と錠前はどうなったんだろう?)



 「ふ〜」
 コキコキと関節の動きを確かめると「ひさしぶりですう」と媚びた笑み浮かべる少年人形。そしてまず、封印を解いてくれたことになってるあしゅら執事にお礼をいいます。封印をといたのは自分だとばれたらやばいのであしゅら執事は気が気でありません。
 そして、みどろさんの元にかけよると、
 「おひさしぶりでございます!メルトでございます!」とあいさつをします。
 メルトくんはいたずらが原因で人形の姿にされたうえ、数十年間もの間封印さていたのです。そして封印されている間に悔い改め、再びみどろさんに仕えたいとお願いします。
 そう、メルトくんは前任の執事だったのです。
 しかし、みどろさんは「執事はまにあってるわ。大人しく箱に戻りなさい」とにべもありません。
 「やはり僕の事をお許しには……。」
 そう、悲壮な言葉をもらし再び箱に戻ろうとするメルトくん。その瞳には一筋の涙が…。
 「お嬢様!お願いがございます」
その涙をみたあしゅら執事が突然叫びます。
 「封印はしばしお待ちいただけませんか?
 どんないたずらかは知りませんが、この瞳から流れる涙をご覧ください。こんなにきれいじゃありませんか!」
 あしゅら執事本当にイイヤツだな。人形フェチだけど…。
 あしゅら執事の言葉に心をうたれたのか、みどろさんはため息をひとつつくと、「あなたに預けるわ。二人で留守番なさい」といってとうとうその場を離れるのでした。




 それから二人は仲良く掃除をはじめます。
 あしゅら執事はそこで、封印の原因となったいたずらについて聞き出そうとします。メルトくんは瞳をあさっての方向にむけて
「ええと」と言葉を探します。典型的な嘘をつく人間のリアクションです。ただ、ひとみ先生クラスになると眉ひとつうごかさずに嘘がつけますが…。
 と、そこへ突然女性の訪問者が現れます。
 みどろさんへの相談者です。
 「お嬢様は今外出中でございます。」やんわり告げるあしゅら執事。
 「ちょっとお待ちください!」突然叫ぶメルトくん。
 「目の前に困った人がいるんです。相談によってはお役にたてるかもしれないじゃないですか」と真剣に訴えます。
 「ほう」と感心する執事。
 とゆうわけで、その女性の相談事をきいてみるとストーカーに悩まされているとのこと。


 そこで、メルトくんは突然、両手を相手にむけるとそれぞれ2本の指をたてます。なんとメルトくんはその人が抱えた選択肢がみえるというのです。
 「最高の選択肢をあなたのために」そういうやいなや、
 「ブイ」
 と満面の笑みをうかべてたてた2本の指を開きます。
 まったくセンスが昭和だぜ!あ、でも数十年封印されてたんだからいいのか。
 「面と向かって付き合う意思がないことをちゃんと伝えれば治まります」とストーカー対策方法を女性に授けるメルトくん。
 感謝して入滅堂をあとにする女性。感心する執事。


 しかし、突然悲鳴が起きます。
 急いでとびだすあしゅら執事とは裏腹にメルトくんは邪悪な笑みを浮かべます。
 とびだしたあしゅら執事が見たものは、ストーカー男に首を絞められている、さっきの女性。しかし、女性は最後の力を振り絞り手に持っていた傘で男を突き刺します。
 三寸切り込めば人は死ぬのだ。
 「ひ、ひどすぎる」叫ぶあしゅら執事の後ろから笑い声がおきます。
 「プッキー!!うひゃひゃ。たまんねー!」腹をかかえてわらうメルトくん。
 「それは最悪の選択肢だっつーの!」そう、メルトくんは故意に最悪の結果をもたらす選択肢を教えたのでした。
 「なんという!これがいたずらですか!」
 義憤にかられたあしゅら執事が叫ぶ。
 「お、お嬢様に言いますぞ!」  
 「けー!あんな不気味なクソ女知るか!」
 あんたすげえよ。あのラーフラさんでもそこまではいわないよ。
 「何十年も閉じ込めやがって!体が動くようになればこっちのもんだ!」そういって逃げ出すメルトくん。
 しかしバランスを崩しすぐにこけてしまいます。みるとメルトくんの足は紙のようにぺらぺらになっていたのでした。
 そして、男女の死体もひとがたの紙に姿を変えます。


 
 「うふふふ、相変わらずねぇ」
 天からきこえるみどろさんの声。
 見上げると建物のはるか上から二人を見下ろす巨大なみどろさんがいたのでした。
 どうやら、コミックス1巻第一夜で使った式神に一時的に魂を宿らせ小人にしてしまうという呪術の発展型のようですね。
 今回はNPCと背景となるミニチュアセットまで用意するという懲りようです。
 あれ、「たたかえ!ラーメンマン」でこういう能力使う人いなかったっけ?まあどうでもいいか。
 「お嬢様すいません!本心じゃありません!」
 涙ながらに訴えるメルトくん。
 「あきらめなされ。お嬢様の悪口まで言ったんだ。あと数百年は箱の中ですぞ」さすがに愛想をつかしたのかあしゅら執事が冷たくいいます。
 ってなにげに数百年って、さらっとすごいこといってませんか? 
 しかし、みどろさんには寛大にも
 「……ま時々出したげるわ。フフフ面白かったから」といいます。マジ!?そんな理由でいいの?擬似空間とはいえ、人死にでてるんですよ。
 「アナタが面倒見るのよ」とまるで拾ったペットの世話を言い渡すお母さんのようにあしゅら執事に言い渡すのでした。
 あしゅら執事の心労がまたひとつ増えたようです。






 今回の話を読んで真っ先に思いついた言葉が魔少年 でした。
最近流行のショタキャラ投入でテコ入れかとも思ったけれども普通に人気があるみたいなんでまだ大丈夫でしょう。
 一応、表紙&巻頭カラーだったし。
 それにしても、あんなに簡単にとける封印っていったいなんなんだろうとか思ってしまいます。
 やはりみどろさんは最初からそろそろ封印を解こうと思っており、何もしらないあしゅら執事に開放させるように仕向けたと考えたほうが、あう、ツジツマが!


 まあ、とりあえず、来週はラーフラさんとメルトくんが人助け対決するらしいのでなんか楽しみです。みどろさんはまた傍観者ポジションにもどっちゃうのかな?