涅槃姫みどろ 厄の26(単行本4巻第参拾夜) 「レクイエム」
 
 放課後の音楽室から聞こえてくるのは、バイオリンの音色。
 美しさの中にも、聴くものの不安をかきたてるメロディを奏でるのは、もちろんみどろさん。(それって、一般的に下手というでのは)
 これが、バキの最凶刑務所ならば「貴様!!どこのお嬢様だッッ!」と看守の怒号が飛んでくるところですが、あらわれたのはどこか憂いを帯びた少年(老けて見えるので教師かと思った)で、みどろさんのバイオリンの演奏をほめながらも、「僕ならこうする」とピアノを弾きだす、ナル入った嫌味ヤローです。

 「僕の願いを聞いて欲しい」といきなり自分語りをはじめる少年の境遇を要約すると、「自分には作曲の才能があるが、まだ若いため、誰も認めてくれない。作曲家の名声が上がるのは、作曲家の死後、伝説化してからである」そこで彼は考えた。
 「一度死んで、生き返りたい!」ジャーン(SE)
 あいかわらず、みどろさんワールドの住人はどうかしてるゼ。
 そして彼は「晩年、自分自身のためにレクイエムを作曲している」という言葉を残したモーツァルトを引き合いにだして、高らかに宣言します。
 「仕上がる予定の大作のエンディングに、僕も自らの死をもって人生の重みとやらを加えよう!」ジャーン(SE)
 あいかわらず、みどろさんワールドの住人はどうかしてるゼ。
 しかし、みどろさんはそんな無茶なお願いを「復活するのは伝説になってからよ」と条件をつけて承諾するのでした。



 そして満月の夜、少年は自作の楽譜をばらまきながら、東京タワーからのダイブを決行します。
 「交響曲[死の飛翔]!この交響曲の最終楽章は主人公の死を持って完結する!ダー」どこかハイテンションな彼が死の渕でみたビジョンとは・・・。
 なんと、モーツァルトがレクイエムの作成を依頼されるとゆう歴史的瞬間。
 そして、レクイエムを依頼した人物こそ、みどろさん 
 え、なに、コレ、どーゆうコト?
 考えられる可能性として、
 1・モーツァルトの時代から生きていた
 2・実は時をかける少女(熟女)だった
 3・少年のみた幻
 4・ある日二つにわかれた

 とにかくみどろさんの謎は深まるばかりです。



 
 後日談
 入滅堂で読書中のみどろさんの前に少年の幽霊が現れます。幽霊のくせにわざわざ扉を開けて入り、「何で僕は復活していないんだ!」とみどろさんにつめよります。
 しかしみどろさんは冷静に彼の飛び降りた日の新聞をさしだします。この日のためにわざわざとっておいたのですね・・・。
 新聞には小さく「高3飛び降り自殺!ノイローゼで紙ばらまく」とあるだけでした。
 これでは、伝説とはいえません。契約では復活するにはまず伝説になることが前提だったため、復活できなかったのです。
 落胆する彼をあわれにおもったのか、少年の曲を奏でるオルゴールが、入滅堂に入荷されたのでした。
 この、オルゴールに少年の霊が宿っているかは、みどろさんのみぞ知る。


 
 今週はわりと奇妙な味わいの話で、毎週趣向が変わるのはホラーオムニバスの醍醐味ってかんじで、読んでて楽しいですね。
 とりあえず少年のみた幻を事実だと考えると、モーツァルトと面識のあるみどろさんに「悪くない」といわれた少年の才能も実はたいしたものだったのではないかと思います。
 ちなみに、私はクラシックに関する知識は全くないので、せめて気分だけでも出そうと映画「アマデウス」をBGM(バックグラウンドムービー)にして、下書きを書きました。
 

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 この映画のモーツァルトはかなりの変人で、おもしろいですよ。


 ところで、今週号の一番の笑いどころはなんといっても、本誌40号の予告カットのみどろさん。人差し指をつきだしたいつものポーズで「買わないと厄いわ」というフキダシ付きです。
 コレ、絶対反則だよ!
 どうやら秋田書店もようやくみどろさんの利用価値に気付いたようですね。



 最後に、「クレヨンしんちゃん」のなぐられうさぎの話は大変厄うございました。