夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)

夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)



 戦争が終わり10年経過し、モノがないなりにささやかに生きる女性の日常生活が原爆症のために一変する「夕凪の街」と、東京で育ったため原爆についてほとんど知ることのなかった「夕凪の街」の主人公の姪が広島に訪れる「桜の国」の二本の短編で構成されています。
 絵柄がとてもきれいで登場人物が男女ともに魅力的に描かれていて、ほのぼのと笑えるところもあるけれども、それゆえに理不尽ともいえる原爆症の発症や、いまも続く被爆者差別の問題等がより鋭くえがかれているように思いました。



 私は福山で育ったので他県の人に比べたら、原爆について知る機会があったけれども、やっぱり広島市の人に比べたら意識が低く他人事のようにとらえていてように思いました。
 原爆が投下されて63年経ち、実際に被爆された方はどんどん亡くなって行きます。
 だからこそ本や映画を通してでも、少しでも知ろうとして考えていって、次の世代にも原爆の悲惨さを伝えていかなければならない、と平和記念公園でこの本を読みながら思いました。