「ストーリー」
 行方不明になったある財閥の相続人である少女の捜索を依頼される探偵。少女連続バラバラ殺人事件の捜査をする刑事。魍魎を封じる箱を信仰する宗教団体を調査する小説家。3人の関わる事件は複雑にからみあう。
 そして山中にそびえたつ巨大な箱型の建物は何か?
 大小さまざまな箱にまつわる謎に、古本屋で神主で陰陽師である京極堂が担ぎ出される。果たして匣のなかには?


 「感想」
 原作小説はレンガ本とよばれるほどぶ厚く、本自体が箱みたいだとはよくいわれたものですが、映画では登場人物の役割を微妙に変えたり、視覚や聴覚に訴えかける映画という性格からして、おもしろくならない部分をバッサリ切り捨てるなどして、きれいに組み立てなおされていてみていて驚きました。さながら寄木細工のようです。
 特に小説では、行方不明になる加菜子の消失が大きな謎だったのですが、映画では逆にみせてます。
 ビジュアルに訴えることで、大きなインパクトを与えていると思います。
 トラウマクラスのショッキング映像で猟奇描写好きの方もきっと満足されることでしょう。(私は違いますよ)
 その他、箱教団に乗り込んで、陰陽道に対するうんちくを垂れる京極堂は嫌がらせにしかみえなかったり、木場はやっぱり暴走してたり、榎木津が普通に探偵をしていたり、関口さんはなんだか貫禄があったり、加菜子と頼子はイチャイチャしてたりと、内容もりだくさんでした。
 盛りだくさんすぎて、全体的に登場人物のセリフが早口で聞き取りにくかったのが難点のように思いますが、圧倒的な情報量で観客をもうろうとさせるというのが狙いなら、大成功のように思います。
 というわけで、映画「魍魎の匣」は原作ファンも初めて見るという人も楽しめる映画になっていると思います。