涅槃姫みどろ 厄の40 CASINOにて

 ラスベガスのカジノにあらわれた風采のあがらない男。
 「マネージャーさん、もうお構いなく、この台に決めてますから」
 そういって選んだルーレット台には当然のようにみどろさんがいます。
 今週はディーラー姿で登場です。加護女さんの登場で再びコスプレ魂に火がついたみたいです。
 「今からこのチップで一勝負だけ参加します」
 そういって男がとりだしたチップこそ、一枚で50万ドルの超高額チップ。
 ざわざわざわ、ざわざわざわ。
 「私は次のゲームにこの一枚をかけます」そう宣言すると突然男は観客に語りだします。
 突然リストラされていまい再就職も失敗した男はなけなしの退職金、家財道具、生命保険、親が残した家、財産を処分して作り出した一枚であることを。
 「わずかな退職金を手にこのまま朽ち果てていくくらいならいっそ・・・。自分の残りの人生を賭けてみようと思ったんだ!」
 ところで彼は英語でしゃべってるんでしょうか?
 HAHAHA
 いかにもアメリカンな服装をした男がいかにもアメリカンな笑い方をすると
 「何がおかしい!貴様らみたいな遊び半分の観光客じゃないんだ!」
 とブチ切れして男につかみかかります。空気読めよ。
 「私は今からこれを一回だけこのルーレットのREDorBLACKに賭ける!赤黒どっちのポケットに入るか・・・。当たれば倍。外れば没収さ!」
 そう宣言する男。
 ザワザワザワ、ザワザワザワ。
 「ルーレットには赤黒以外のポケットもあるわよ。」そう指摘するみどろさん
 「ラスベガスのカジノの中にはわずかながら『シングルゼロ』と呼ばれる方式の特別台がある!『0』と『00』のうち『00』がないプレイヤーに有利な台。それがこの台さ!」
 みどろさんがいる台はそんないわくのある特殊な台だったのです。さすが厄いところにあらわれます。 
 「この台なら当たる確率は18/37!限りなく1/2に近い確率で賭け金を倍にできる究極の合法ギャンブルだ!当たれば一億、残りの人生は充分に立て直せる!」
 そういいきる男。個人的にはリスキーなことには代わりないように思いますが、とりあえず博打で確率がどうとか言い出したらすでに負けフラグです。
 「外れたら?」
 冷静にたずねるみどろさん
 「・・・覚悟はできている」
 不敵にいいきり、50万ドルチップを高々と掲げます。
 私はこれとともに生き、これとともに死す。いまさらなんのためらいがあろうか!
 「クレイジー
 「凄いゲームだぞ・・・。」
 騒騒騒(ざわざわざわ)、騒騒騒(ざわざわざわ)。
 「さぁはじめてくれ」
 「わかったわ」
 男に促されゲームをはじめるみどろさん
 ルーレットは周り、玉が投げ入れられます。
 男とみどろさんの間にはただルーレットがあるのみ。
 空気の読めない客が自分も賭けようとしますが、「大勝負を二人きりでやらせてやれ」と別の客が制します。なかなか粋の人です。
 男は礼をいうと、再びルーレットに集中します。
 そして「・・・赤に賭けよう」
 選んだのは赤。
 玉は赤のポケットに入った・・・とみせかけてとなりのポケットへ。
 バンザーイ、なしよ。
 「BLACK13」
 みどろさんが非常にコールします。



 その後、男は街頭にロープをかけていままさにクビを吊ろうとしていた。
 「ふ、せっかくの全財産をあんな事に使って、なんてバカな事をしたんだ。もう一度やりなおせるもんなら」
 後悔の言葉をのべる男の後ろから
 「やり直せるわ・・・」
 と声をかけたのはみどろさん
 みどろさんが不敵に笑うと・・・。


 男は50万ドルチップを高々と掲げます。
 「クレイジー
 「凄いゲームだぞ・・・。」
 騒騒騒(ざわざわざわ)、騒騒騒(ざわざわざわ)。
 男は時間が勝負の前に戻っていることに気付きます。
 「今ならまだこのチップを両替所に返せる・・・」
 弱い考えが頭をよぎるも、次の瞬間、浮かぶ、勝利への方程式。(とゆうほどのものでもないか)
 「さぁはじめてくれ!」
 「わかったわ」 
 再び回りだすルーレット。
 「大勝負を二人きりでやれせてやれ」同じシチュエーションが繰り返され男はいよいよ確信する。
 「黒だ!とにかく黒に賭けるだけでいい!」
 予定通り玉は赤に入るとみせて、黒に入る・・・。
 「やった」歓喜する男。
 「兄ちゃんやったな!」祝福する観光客に
 「ハハッ、この玉は黒に入る運命だったのさ!」とサムズアップで応える男。
 「やった!僕は人生に勝った!ディーラー!早くコールを!」
 そう促すもみどろさんからは「まだよ」といわれます。
 みると玉は再び動き、となりのポケットへ・・・。
 「RED27」
 みどろさんがコールします。
 「え〜〜!!」
 逆上した男がみどろさんにつかみかかります。
 「こ、この玉は黒のポケットに入るハズだった!そういう風に決まってたはずだ!何かやったな!」 
 おいおい、ディーラーさんに直接手を触れるのはご法度だぜ。
 しかし、みどろさんは男を片手で振り払います。何気に凄い。
 男の前に立ちふさがるみどろさんに対して、
 「じ、人生を賭けた大勝負なんだ!出た目を簡単にひっくり返されてたまるか!」 
 と涙ながらに訴えます。
 「誰もひっくり返してないわ。決まっていたのはポケットの色じゃない。
 人生を賭けた大勝負に必ず負けるという・・・あなた自身の運命だったのよ」
 そういいきるみどろさん
 「ひゃう、わはははは・・・。」
 あちら側に行ってしまった男に向けて最後にみどろさんは決めゼリフをいいます。 
 「・・・最後に言い忘れていたけど、あなた厄いわ・・・。」



 
 こんなことをいうためにわざわざ時間を巻き戻したのですか・・・。
 みどろさんは無慈悲な夜の女王や〜。
 普通の少年漫画だったら「運命は自分できりひらくもの」というところなのに「最初から負けるのが運命だった」といいきるあたりがさすがみどろさん
 てゆうか、この男運命をきり開くようなこと何もやってないんですけどね。
 だいたい、5千万円あったら普通に人生やり直しできると思うんですがどうでしょう?
 追い詰められて博打で一攫千金なんて考えた時点で男の負ける運命は決まっていたのかもしれまんね。