■
涅槃姫みどろ 厄の37 「忠犬ゴン」
「ゴンや、あと何回こうやってお前と一緒に散歩にでられるのかねえ」
河原の土手でそう飼い犬に話しかける老婆。その声をきくと蝶を追いかけていた、ゴンは悲しそうな顔を老婆に向けます。
「おや、そんなに悲しそうな顔をしないでおくれよ」という老婆。
そのときゴンの野生のカンが何かを告げ、やってくるる二人に猛烈に吠えだします。
厄いところにみどろ在り。
年齢不詳のお嬢様スタイルの女性と正装した仮面を被った初老の男性の二人連れでは、犬に吠えられてもしかたないように思います。
「こら、しっしっ!お嬢様に吠えるなんて失礼な!」
露払いを買って出るあしゅら執事。マメですね。
威嚇する犬とポーカーフェイスのみどろさん。
その均衡は咳き込む老婆によって破られます。
「す、すいませんねぇ。普段人に吠えるなんてめったにないのですが・・・」
老婆を心配そうに見つめるゴン。あしゅら執事は老婆を気遣い
「あまり体調がよろしくないようですが・・・。おうちの方を呼びましょうか?」
と問いかけます。
しかし、老婆はもはや家族は愛犬のゴンだけであることを告げます。
心細いでしょうと心配するあしゅら執事にゴンが身の回りの世話をしてくれるから心配ないと応えます。
そんな老婆の心配事は自分の病気のこと。ゴンは老婆の話がわかるのか老婆の病気の話をきくと悲しそうな顔をします。
結局ゴンにうながされ立ち去ろうとする老婆。けれどもゴンはみどろさんが気になる様子。
ゴンが振り返ると後ろ姿のみどろさんの右腕がゆらりと動きます。
彼女はたぶん魔法を使う。
何かを感じ取ったのかゴンは一声ワンと吠えるのでした。
家に帰った老婆はゴンに別れてしまった息子の話をします。
数十年前、商売を続けたいために親権を放棄してしまった老婆だが、もはや先が長くない事を知ると無性に息子にあいたいと願うようになってきたのでした。
そんな老婆の話を悲しそうな顔で聞き入るゴン。
次の日、ゴンは入滅堂にあらわれます。
「そうよほどの決意があるのね・・・。ただしうまくいくとは限らないわよ」
ゴンの話を聞きそう告げるみどろさん。犬語がワカルンディスカー!!
今週セリフなしかと思ったらとんでもない特技を披露してくれます。
「一度やったら元に戻れないのよ」と念押しするみどろさんにゴンは一声なくとみどろさんの顔をぺロッとなめます。
このケダモノめっ! いや、犬か・・・。
みどろさんは上着からハンカチを取り出し顔を拭くとそのハンカチをゴンの首に巻いてあげます。
「わん!!」
そう叫び壮年の男性が公園のベンチで目をさまします。
男性は公園のにおいを嗅ぐと、
「わっ、僕がお婆ちゃんに拾われた公園だ・・・。懐かしい」
と叫びます。
そう、この男性こそみどろさんの魔術によって飼い主の息子の姿にしてもらったゴンなのです。
ゴンは四つんばいで、街をあるくと自分が人間の姿になっていることを確認します。
「よかった、お婆ちゃん喜ぶぞ!みどろさんありがとう」
なかなかナイスミドルないでたちなのにしゃべり方が妙に幼くて厄い。
とゆうかここまでストレートにみどろさんに感謝した人?って珍しいのではないでしょうか?
「お婆ちゃん待っててね!」
四つんばいでダッシュしようとするゴンだが、さすがにまずいと気付きシャンと立ち上がります。相変わらす擬音のセンスが昭和です。
そんなゴンがふとファミレスの窓を覗くと・・・。
所変わって入滅堂。
「それじゃあ、あの犬は・・・。先のないお婆ちゃんのためにしばらくの間だけでも生き別れの息子になってやろうと・・・。」
あしゅら執事の説明ゼリフに対してみどろさんは
「でも、待っているのは残酷な選択かもしれないわ」
と意味深な発言をするみどろさん。
幸せは犠牲なしでは手に入れることが出来ないのか?
ゴンと老婆の運命やいかに!?
その夜、感動の再会を果たす老婆とその息子。
息子はゴンではなく本物の息子。
ファミレスで本物の息子を見つけたゴンは迷った挙句、息子に老婆の居場所を教えたのでした。
けれども犬には戻れぬこの体。ゴンは老婆の前から姿を消すことを選びます。 ゴンの不在に気付いた老婆はゴンを探しにいきますが、聞こえてくるのはゴンの遠吠えのみ。
「なんと悲しい遠吠えでございましょうか・・・。私もう聞いていられません」
そういって耳をふさぐあしゅら執事に
「これは彼なりの喜びの遠吠えなのよ」とさとすみどろさん。
月をバックに遠吠えするゴンでキメ!
「・・・なるほど、たしかに堂々たる雄雄しさ。さすがに忠犬ですな」
そうつぶやくあしゅら執事なのでした。
「ゴンは人間になりました。メデタシメデタシ。
だがゴンは人間になってほんとうに幸せになれたのだろうか・・・?」
いや、漫画版「人造人間キカイダー」の最後のこのセリフが大好きなだけでとくに意味はありません。
今週は一ページ目をみたときからイイ話オーラがでてました。イイ話は好きですが、ツッコミにくいので苦手です。
冒頭まったくみどろさんがしゃべらなかったのですが、実はみどろさんは幸せになって欲しい人には関わらないようにしてるんじゃないかっていう気がします。