涅槃姫みどろ」 厄の24(単行本3巻第弐拾七夜)
       「花道(ラストステージ)」

 今週はみどろさんを影から支えるあしゅら執事こと、はじめ師匠が主人公です。あしゅら執事とよばれる由来は、生前腹話術を得意とするマジシャンだったはじめ師匠が、死後みどろさんの魔術により顔の左半分が腹話術人形のクロコちゃんと融合させられてしまったため、そのビジュアルからマジンガーZの敵キャラあしゅら男爵をおもわせることからついたあだ名です。
今週、生前の名前がわかったのですが・・・まあ、あしゅら執事でいいや。
生前の記憶は曖昧になったとゆう演出が以前されましたが、今回ではいきなり以前好きだったシャンソンシンガーの夏子さんと再会し回想シーンまで披露してくれます。
 ちなみに、あしゅら執事は半年に一日しか休みがもらえないそうなので、みどろさんのところはかなり劣悪な労働条件といえるでしょう。といっても、魔術で生き返った人間に休みを与えるあたり結構いい人なのかもしれません。少なくともブードゥー教のゾンビマスターよりは・・・。


 さて、思い出話に華を咲かせる二人ですが、実は夏子さんの命はのどの病から、それほど長くないということがわかります。
 死を覚悟した夏子さんに対して、あしゅら執事は
 「悲しいことをいわないでください・・・。私はずっとあなたのことが・・・。あなたは私の・・・・スターなんですから。」
と伏目がちにいいます。つい、本心がでそうになったけれども死者である自分の立場を思い出しあわてて取り繕う、そんな哀愁が感じられて結構萌えます。みどろさんはいつも不敵に笑ってる上、顔がしょっちゅう変わるのでわかりにくいですが、この作画の人は目で表情をつけれるのがすごくうまいと思います。
 そんなあしゅら執事の気持ちを知ってか知らずか、最後にもう一度ステージにたってみたいという心残りがあることを告げます。そこで、あしゅら執事は彼女の最後の夢をかなえるべくラストステージの準備をするのでした。
  へそくりをはたいて会場を確保したり(給料もらってたのか!)、みどろさんに内緒で「若返りの薬」を持ち出したりと涙ぐましい努力をします。
 ちなみに「お嬢様に相談すればいいじゃない」というクロコちゃんのツッコミに「ばかもん、お嬢様が直接関わってロクなことが起こったためしがないわい」と答えます。わかってるねえ。

 そしてステージの日、控え室で「若返りの薬」を渡そうとするあしゅら執事の前にみどろさん登場!格好はフリル過多のブラウスにロングスカートといういつもの正統派お嬢様スタイルです。年をかんがえなって・・・。
 みどろさんは「人のものを勝手にもち出して」と「若返りの薬」をあしゅら執事の手から奪います。
 なんとか使わせてもらおうとみどろさんに懇願するあしゅら執事ですが、無情にも出番の時間がやってきます。
 あわてるあしゅら執事に対して、夏子さんは冷静に「私は大丈夫よ」と告げ、ステージに向かいます。
 「最後のステージにあがる機会を、勇気をくれてありがとう」そうつぶやく夏子さん。あしゅら執事の空回り気味だった気持ちは無駄ではなかったようです。
 そしてステージ上で「この歌を亡き私の夫そして、一度もつきあったことのない恋人にささげます」と口上を述べます。
 やったな、執事!あんたのことだよ!
 しかし、あしゅら執事は控え室でへこんだままです。
 「こうなったら、いさぎよく死んでおわびを」いや、アンタもう死んでるし・・・。 
 そこへイベントスタッフが現れ、夏子さんの歌が大好評だったことを告げます。
 驚くあしゅら執事。しかし、みどろさんはあしゅら執事の耳をひっぱりその場を立ち去るよう促します。その姿はまるでカツオの悪戯をしかるサザエさんを思わせます。
 
 会場の喧騒をバックにみどろさんはいいます。
「彼女は最初からあなたの薬なんて信用してなかったわ。でも、この歓声はまぎれもなくあなたが起こしたマジックよ。」
 元マジシャンだった執事に対する最大限の褒め言葉に満足げなあしゅら執事。
 しかし、そこではたと気付きます。
 「しまった、私だけ彼女の最後の歌を聴き逃している!」


 
 と、オチがついたところで、今回はおしまい。
 関わるとロクなことが起きないからあえて関わらなかったみどろさんの涅槃流のやさしさが光るお話でした。特に先週のトンデモ話の後にもってくるあたり、原作者の非凡さがうかがえるように思います。



 ところで、話は変わりますが雄樹さんのホームページ「ぽっかぽっか亭」において現在、「あなたの好きな漫画は」というアンケートが行われており、現在「涅槃姫みどろ」は同率トップという状況です。うお、なんかスゲエ。
 といっても、項目が分かれすぎて3票だけしか入っていないのですが・・・。
 とにかく、みどろさんを世間により認知させる良い機会だと思うので、ぜひともあなたの清き一票をお願いいたします。
 

 こちらが「ぽっかぽっか亭」です。
http://pokapoka777.donburako.com/index.html
 いや、「フリオチ」の項目を作って票を入れるのもありだと思いますよ。