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涅槃姫みどろ 厄の42 「クリスマスの亡霊」
カフェのテラスでクリスマスイブに一人でお茶を楽しむみどろさん。
そこへ「お兄ちゃ〜ん」と駆け寄る少女は敷石の段差でつまずきみどろさんのいるテーブルにぶつかります。お茶はこぼれてしまい、結構高そうなみどろさんのコートにかかり、少女も泣き出してしまいます。
そこへ現れた一人のウェイター。
彼は少女の兄で、状況に気付きみどろさんに謝罪します。
みどろさんは「いいわよ」といってコートのお茶をふき取ります。子供には甘いです。
青年は少女を「こら!来ちゃだめだっていっただろう!」とさとします。
「だって〜クリスマスだも〜ん。寂しいんだも〜ん」とふてくされる少女に
「ちゃんと一人で留守番してなさい!今年もオヤジのプレゼントもらって来てやるから」とゆうと少女は大喜びします。
「あとね!パパに会いたい!」
少女の無邪気な言葉に青年の顔が曇ります。
「それはダメだ。親父は仕事で長い間、海外出張してるんだ・・・」
と言葉を濁します。
実は、この兄弟の両親はすでに他界しており、母の死を目の当たりにした少女をおもいやり父の死については伏せており、父の生存を演出するために青年は自分でプレゼントを用意していたのでした。
「お姉さんにもちゃんと謝るんだぞ」そうそういって青年が立ち去ると、少女はみどろさんにキャンディを差し出します。
「変なお姉さん、これあげる」
ははは、子供は正直だなあ・
「あらプレゼント?」と微笑んで問いかけみどろさんに、少女は「うん」と満面の笑みで答えるのでした。
バイト終了後、同僚たちからクリスマスパーティーに誘われる青年は、この後もアルバイトがあるといって断ります。
青年の現状を知っている同僚は、いつかは嘘はばれるものだと指摘します。
その言葉をきいて逆上する青年。
「あいつのためなら、俺はどうなったっていいんだ!親父が死んだ日から俺はずっとそうやって・・・」
そういって同僚につかみかかるも、ふとわれに返り「ごめん」とあやまりバイト先をあとにします。
そんなかなり無理をしている青年を心配そうに見送る同僚。同僚ええやつじゃのう。
デパートの飾りつけのバイトが終了したときには、もう夜も12時になろうとしていました。
妹の待つアパートに帰ろうとする青年は、帰りながら「父親からの手紙」の文面を考えます。しかし、今までの無理がたたったのか青年は突然のめまいを覚えます。
ゆらぐ世界のなか、青年の視界にはいってきたのはみどろさんの姿。
青年にまっすぐに手をかざしてお得意の「厄いわ」のポーズです。
「あ、カフェにいた女の人!?」
やはり変なお姉さんだからおぼえていたんでしょうか?
だが、探している場合ではなく、青年は帰りを急ぎます。
「あと少しあと少しでまたあいつの喜ぶ顔が見られる。クリスマスが大好きだもんな・・・。あいつは俺が幸せにしてやるんだ」
歪む世界の中、気付けば青年はいつしか車道にでており、一台の車が今まさに青年にぶつかろうとしていた。
「あ、雪だ」
12時を過ぎてもまだ帰らぬ兄を心配する少女。
その少女が待つアパートに向かう一人に黒ずくめの男。
シューシューとあやしげな呼吸音をたてる男は、アパートの部屋に入り込むと・・・。
足取り軽く家路につく青年。
どうやら事故はサイドミラーに指があたっただけの軽症のようです。
青年がカギをあけると深夜にもかかわらず少女はおきて待っていました。
「何だまだ起きていたのか」そう問いかける青年に
「うん、さっきまでここにパパが来てくれてたんだよ!」とうれしそうにいいます。
いぶかしむ青年に少女がみせたものこそ、父が大事にしていたペンダント。
ってゆうかコレ、前々回にでてきた50万ドルチップと同じデザインなんですけど。まさか同じものじゃないですよね。だったら5千万円ってこと!
「困ったらこれを売って生活費の足しにしなさいって、ママの事とかお兄ちゃんの事とかいっぱいお話したんだよ」
そして最後に言った父の言葉は自分はもうこの世にはいないということ、兄はすごく無理しているから迷惑をかけてはいけないということ。
素直に聞き入れた少女は「お兄ちゃん、私も頑張るね」と言って眠ってしまいます。
ペンダントを握りしめ「親父・・・ありがとう・・・」と号泣する青年。
そんな幸せな兄妹をアパートの外から見守るみどろさん。ストーカーですね。
みどろさんは「プレゼントのお返しよ」と少女からもらったキャンディにキスすると
「ふふふ、メリークリスマス」と誰にともなく(ひょっとして読者?)いうのでした。
クリスマスネタなのに感想かくのは大晦日になってしまいました。
まあ、でも、漫画家さんも書いてるときはクリスマスじゃなかったわけだし、ってダメ?やっぱり。
とりあえずあまりにもいい話で、ちょっと驚いてしまいました。絶対死人が出るとおもってましたよ。
あまりツッコミどころはありませんが、キャンディもらって喜ぶみどろさんがかわいかったです。
それでは最後に「ふふふ、よいおとしを」